小さな文字が読めない。手もとの小さな文字のメモなどは、少し腕をグイーっと伸ばして見れば読めていたこともありました。でもそんな小手先のテクニックは数年で無意味となり、今では眼鏡をかけなければまったく手もとの文字が読めなくなりました。はい、老眼です。新聞を読むのも、文庫本の小説を楽しむのも、はたまたスマホを覗くのも、眼鏡が無かったらまったく読むことができなくなりました。おそらく45才くらいから文字がボヤボヤし始め、現在52才、完全にボヤけております。泣ける。
老化ですから仕方ないと思いつつ、不便でなりません。そもそも視力がずっと良かったというのも、不便さに拍車がかかっている気がする。若い時は見えないものなどなく、学校で毎年行われる視力検査を、きっとドヤ顔しながら受けていたと思います。ほら、輪の一部が欠けているあの「C」みたいなマーク、あれ、学生時代は完璧に全部見えていたんだもん。後ろの席の友人が「一番上の段、欠けてる場所教えて」って言うから、「右、下、上」って教えてあげたことあります。一番上の段が一番大きなマークで、あれが見えないと恥ずかしい、と彼女は言う。だから今のうちに暗記しておくの、と。視力が悪いことが彼女のコンプレックスだったらしいんですよね。そうかなあ、視力が悪いのって頭良いってイメージあったのでうらやましかったけどなあ。
とはいえ、現在では不便極まりない私。非常にストレスなので、いろんな老眼鏡を試しています。近眼と違って細分化されていないのが救い。本当はメガネ屋さんできちんとした度数を測ってオリジナルを作るのがいいのだろうけど、まだまだ老眼が進むのではないか、と思うと、ついつい100均で買ったりしてしまうんですよね。大量に買ってあっちこっちに置いておいて、小さな字を読む時にかけたり。でもそれで済んでいたのは50前までで、現在ではあー、見えない!という場面が増えすぎて、首にかけておきたい、と感じるように。遠くは見える、老眼鏡をかければ手元は見える、でも今度は微妙な距離が苦手となり、こちらは拡大鏡を使うことに。目がいいのが自慢だったのに、こんなに苦労することになるなんて!
小さいものが見えにくいという話から小さなもの繋がりで。最近は小さな工具が続々と発売されてます。ハイコーキから次々と新発売されてるんです!ボード用ドライバを皮切りに、マルチツールも発売されて、最新ではマルノコも新発売されました。すべて10.8Vでコンパクトサイズ。当社のお客さんははつり作業や解体作業のプロが多く、皆さんパワーと大きさを必要としていて、小さな電動工具はサブ的なものなってしまいます。でも、細かい仕上げなどには繊細な工具も使うんですよ。
小さな工具の何がいいって、とにかく軽いこと!ボード用ドライバって石膏ボードを貼る時に使うのですが、上向きの作業が多いんですよ。腕をずっと上げている状態で作業するのですから軽い方がいいに決まってる!マルチツールもブレードを変えるだけでいろんな材質のものを切ったり削ったりできるので、何通りもの使い方ができる優れもの。昨今のDIYブームで簡単な棚など作る人も増えましたよね。それどころか部屋をリフォームしたり、古民家を改装したりする強者も。マルチツールがあると壁紙をはがしたり、床材を剥がしたりすることもできるので、ワンランク上のリフォームができるでしょう。
目が悪いことばかりに注目してしまったけれど、よくよく考えてみたら、私の体のすべてが老化してるんですよね。誤解なきよう前置きすると、私、年寄りぶったり、体の不調を得意げに話すのって好きじゃありません。病気の話とか好きな人もいますので、もちろんそういった方を批判するつもりはありませんよ。でも、私は自分の老いのことや、人生の先輩ぶるのって嫌なんですよね。それでも経験者は語る的なことを若い子にしてしまうこともありますが、陰で盛大に反省してますのでお許しを。
で、中年になったことは受け入れざるを得ないのですが、先日ちょいと嫌な場面に出くわしまして。ちょっぴり混み出した夕方のスーパーのレジで、清算でもたついてる老齢の女性がいたんです。若い方はピッてスマホやカードで決済してるんですけど、現金でお支払いしているおばあちゃま。小銭をのぞいているけれど、なかなか小銭が出せないでいるんです。おそらく目も見えづらいところに来て、指先の動きも鈍っているのだろう。うんうん、わかるぞ、おばあちゃま、がんばれ!と思っていたら、次に精算したい若い女性がズンズンとおばあちゃまのカゴを押しているではないか!おばあちゃまが若い彼女の顔を見つめたら無表情。そのままズンズンと押し続け、苛立ちを隠さないでいる姿に怒りを越えて悲しみすら覚えた私。その彼女、イラつきながらさっさと支払いを済ませて去って行っちゃった。
若い子にとってお年寄りはもちろん、おじさんやおばさんはイラつく存在なんだろうとは思う。でもね、でもでも、私たちにも若い頃はあったし、アナタたちにもカゴをグングン押される日が来るんだよ!平等に年を取る、なんてちょっと想像すればわかりそうなものだけど、人間の想像力なんてたいしたことないんだなあ。あの子たちにはわからないのだろうな。ふむ。
だけど、日常的に気分を害されるのもイヤなので、若者にナメられないよう対策せねば!そうねえ、こちらが対抗できるのは、できるだけ貫禄を出すことかな、と。多少モタクサしていても「は?なにか?オホホ」という雰囲気をかもし出すのが大事かも。まず、外に出る時は100均の老眼鏡はやめて、強そうなメガネにチェンジ。雑貨屋さんをのぞいてみると、メガネのツルの部分が絶妙な長さになっていて、首にかけられる老眼鏡がありました。おー、これはオシャレはないか!レンズの形は丸じゃなくてシュッとした上がり目のものを。色もベーシックなものではなくて大胆に赤をチョイス。つけてみると、なんだか貫禄マダムみたいでいい感じ。
家に帰って若者代表の娘に見てもらう。第一声は「なんか老けて見える」と。あー、貫禄を重視してしまったので、若見えするかどうかを忘れてた!ショック。でも、気を取り直してよく考えてみれば、どうせ若くは見えないんだから、そこはすっぱり諦めて、貫禄の方を取ることにしました。これからはレジで、小銭で、エスカレーターで、タッチパネルでモタモタしても「お待ちあそばせ」という雰囲気を出そうと思います。若い時代は短いの!中年以降はとーっても長いんだからねっ。