早起きは三文の得

ウエダキコー

朝ってすっきり起きられますか?早起きって、すっごく得した気分ですもんね。実は私、早起きが得意です。せっかちなんですよ。早く早く〜。急げ急げ〜と生き急ぐ。

娘がいます。朝が弱い、らしい。
『らしい』んですよ。おそらく、私がバシバシ起こすから、自力で頑張って歯を食いしばって起きる気がない。でもね、起きない人を起こすのって大変なんですよ。だってどういうつもりか知らないけど、寝起きの人って総じて不機嫌ですよね?起こしてやったのに不機嫌ってひどくないですか?

娘。次女の方。これが起きない。全然起きない。
娘、中学時代。ソフト部の朝練もあったし、朝が早い。
娘、高校時代。それなりに通学距離があるわけで、朝が早い。


しかも反抗期ど真ん中。いっつもイライラしてたもんです。で、できるだけ距離を取る。近寄らない。イライラしてる娘と正しいコミュニケーションなんて取れるわけないんだから!

ところが、朝は起こしてもらいたがるもんだから、たまらない。起こしたのに怒ってる。私も「もーなんなのさ」と怒りに震える。学校に出かけてくれるとホッとすると同時に怒りが込み上げる。起こしてやってるに、なんちゅー態度じゃあああああ!

怒りがおさまらない中、お掃除のために娘の部屋に行くと、娘のベッドの枕元にぬいぐるみがキレイに並んで寝てる。ずらーっとクマやらネコやらがベッドに横たわってる!おそらく、眠くて仕方ない娘自身の身代わりに、ぬいぐるみを寝かせたのではなかろうか。ちょっとその光景がかわいくて笑ってしまった。それで私はそのぬいぐるみたちに布団をかけてあげました。

それからというもの、娘は反抗期で口はきかないくせに、ベッドにぬいぐるみをズラーっと並べて出かけるようになりました。で、私がその子たちに布団をかけておく。
このやりとりを気がつくと何年もやってましたね。もちろん毎日ではないのですがプリプリ怒って出かけたくせに、なぜかぬいぐるみは並んで寝てる。こちらもイライラして送り出したけれど、ぬいぐるみを見ると和んでしまう。この繰り返しでした。

娘、19歳になりまして、さすがに意味不明のイラつきはないけれど、
たまにぬいぐるみがズラリ並んでます。いまだに私もきれいに布団をかけてあげます。ちょっと心がほっこりして、ゆとりを感じる瞬間なんですよね。このやりとりが無かったら、短気で怒りん坊の私は、きっと文句ばっかり言ってたくだらない母親になっていた気がします。娘の高度なコミュニケーション能力に助けられました。娘よ、ありがとう。

今回のイラストは充電式鉄筋結束機です。
その名の通り鉄筋を結びつける道具です。
いとも簡単に一瞬で、鉄筋同士をワイヤーで結んじゃう。
一瞬。そうね、一瞬で結論が出ないのが子育てかしら。長い時間かけてお互いによりよい着地点を見つけていくんですかね。親も子どもも性格は違うし、考えも違うし。でも、生まれ持った性質は変わらないのだろう。だって私、このせっかち気味の工具が好きですもん。なんだかんだ言っても私は何も変わってない。結局、娘が私に合わせてくれていたのかも。本当にありがとね。