ロボットの開発をお願いします

日本中、いや、世界中の老若男女がほしがっているロボットといえば『ドラえもん』ですよね。小さな子どもの頃は、のび太がうらやましかったものです。テスト前の暗記パンなんて喉から手が出るほど欲しかった。50歳という大人になってみると、のび太より私の方がドラえもんを上手く使える!などという、欲のカタマリになってしまうのもお約束。大人は全員スネ夫になります。

突然ですが、先日の新聞のコラムがとても興味深かった。「どんなロボットがほしい?」というお話なんですが、コラムを書いている女性は「消しゴムくらいの小さな猫ロボット」が欲しいというのです。え⁉︎何それ⁉︎

その猫ロボはただそこにいるだけ。ゴロちゃん(コラムの中で名前までつけてた)は、カフェでコーヒーカップの周りを歩いたり、自宅のパソコンのそばにいたり、飽きると鉛筆たての後ろでお昼寝。ただ、それだけ。まったく便利でもなければ、何の役にも立たない。でも、なんかわかる〜。私もゴロちゃんが欲しい、と思ってしまいました。小さなゴロちゃんがふいに出てきたりして、癒されそう。この無駄な感じっていいですよね。この感情って人間らしさがあっていいな。

19歳の娘にきいてみる。この猫ロボのゴロちゃん、欲しいよね?と。
娘「その猫ロボは単2?単1?」。
一瞬、何のことかわからなかったのですが、電池の大きさのことですね。はあ。ふむむ。単2はいつでも家にはストックされてないだろうし、単1は値段が高い。となると、単3か4かな?いや、今の世の中、USB充電でしょー。でも、何で電池?

娘いわく、昔、娘が小学生だった頃、工作で使うんだか何だかで「明日、単1電池、学校に持って行くよ」って母親の私に伝えたら「突然言うなー‼︎」と怒られたらしい。単1なんてストックしてる家は少ないよ、急に言う大きさじゃないってば!と文句言われて、あー、電池って面倒くさいって思ったのだそうです。イヤなこと、思い出すなぁ、まったく。

気を取り直して、夫にきいてみる。夫はウエダキコーの社長兼私のオットです。「ねえねえ、どんなロボットが欲しい?」と。
夫はちょっぴり考えて「重いものをちょっと持ち上げてくれるロボットがほしい」とこたえました。ちょっと持ち上げる?いっぱい持ち上げる、じゃないの?

当社の販売しているものって、重いんですよ。例えば、シート。解体するときなど、足場の周りをぐるっと覆うのに使います。粉じんをまき散らさないようにする効果もありますが、火事の時に燃え広がらないようにする防炎シートや、ガガガっていう音が漏れないようにする防音シートなどもあるんですよ。これが重い。何枚も重なるとズシンと重い。ある程度在庫もしているため、倉庫に運んだり、倉庫から出したり、よいしょよいしょと大変なんです。

で、たまに夫は私に「ちょっと手伝ってもらえるかな?」と声をかける時があります。そういう時はたいてい面倒なことか、重いものを一緒に運ぶか、この二択に決まってるわけです。特にシートはすべるので運びづらい。だもの、そんなにいつも機嫌よく「はーい」なんて言えないですよ。それでも気をつかってさ、かわいい「はーい」を言うようにしているよっ。

よくよく聞いてみると、ちょっと持ち上げてくれれば、後は自由に移動したりしたいようで、いっぱい持ち上げられると、逆に迷惑なこともあるらしい。なるほどね。ほどほどってのが大切なんだね。「あとは君にお願いしなくてもよくなるし」はあ⁉︎ちょっと、ちょっと!ずいぶんなこと言ってくれるじゃないの!ま、でもね、確かに快く引き受けてくれるロボットがいてくれたら、精神的に楽になるよね。

私はどんなロボットがいいかな。いろいろ考えたけど、小さなウサギのロボットがいいかな。形はシルバニアファミリーみたいな擬人化したウサギがいい。できれば女の子。この子がテレビを消してくれるんです。どんな時かって?それはただ一つ、私が世間話を始めた途端、夫がテレビをつけるんですが、それをポチッと消してほしい。昔からそうだった。保護者会の話、PTAの会合での問題、子どもの人間関係の悩み、こういった日常生活の中でいろいろ悩むことあるじゃないですか!でも、こういうとりとめのない話を始めると、決まって夫はテレビをつけるんです。自分は関係ないよ、とでも言いたいのか⁉︎これが一番イヤ!私が直接手を下すのは夫婦関係にヒビが入るでしょうから、可愛らしいウサギの女の子がポチッと消してくれるといいな。ウサギさんのセンサーは私の空気が悪くなったらポチッと。これ、けっこう売れると思うのですが、どうでしょう。